🟠 導入:布ひとつで仕上がりが変わる
縮毛矯正において、薬剤やテクニックと同じくらい重要なのが「アイロンプレートに巻く布」。
特にツインアイロンの上面プレートは、髪をなでるように通る部分であり、
仕上がり・安全性・作業性に直結します。
今回は、RTS/レスキューヘアが長年の検証からたどり着いた「天竺木綿」を基準に、
他の素材との違いを整理します。
🟢 天竺木綿:万能性・扱いやすさ・安定感
特性 | 内容 |
---|---|
編物(メリヤス)構造 | 柔らかく、追従性が高く、アイロン操作に馴染む |
適度な吸水&緩やかな放湿 | 蒸気爆発を防ぎながらも適度に保湿 |
キューティクルにやさしい | 摩擦が少なく、仕上がりにツヤ |
初期コスト・扱いやすさ | 安価で加工性もよく、誰でも巻きやすい |
バランス | 熱・水分・圧力・操作すべてで「中庸」に優れている |
→ 「クセの少ない素材」=どんな髪にも使える万能型
🔵 他の素材と比べてどうか?
1. リネン(平織り)
- ✅ 熱を素早く伝える
- ❌ 硬く、アイロンに巻きにくい
- ❌ 髪に密着しにくく、スリップしやすい
- ✅ リントは少ないが、調整がシビア
→ テクニックに自信のある施術者向け素材
2. 帆布(11号など)
- ✅ 熱を遮断する力が強く、ゆっくり熱を入れられる
- ❌ 分厚く、柔軟性が低い
- ❌ 毛先や細毛への密着が難しい
- ✅ ダメージ毛には向くが、通常毛にはオーバースペック気味
→ 毛先保護・特殊矯正に一時的に使用するのが◎
3. T/Cギャバ(綿ポリ混)
- ✅ 滑りがよく、熱伝導も速い
- ❌ 乾きすぎて、熱が入りすぎるリスクあり
- ❌ クッション性が低いため誤差が結果に出やすい
→ 速さ重視の施術者には有効だが、髪質を選ぶ
4. ブラッシングデニム/オールドデニム
- ✅ 表面がやや起毛しており、毛羽立ちを抑える
- ❌ 厚みと硬さが操作性を落とす
- ❌ ツヤ出しには不利で、やや仕上がりに重さ
→ ツヤより毛羽防止に寄せたい時の選択肢
🟣 比較表:天竺木綿 vs. 他素材
素材 | 追従性 | 熱の入り方 | 蒸気爆発リスク | 毛羽・ツヤ | 操作性 | 向き |
---|---|---|---|---|---|---|
天竺木綿 | ◎ 柔軟に密着 | ◎ やさしく入る | ○ 適度に逃がす | ◎ ツヤも出る | ◎ 巻きやすい | オールマイティ |
リネン | △ 硬め | ◎ 速く入る | ◎ 爆発しにくい | ◎ 毛羽立ち少 | △ 滑りやすい | 上級者向け |
帆布 | △ 分厚い | △ ゆっくり入る | ○ 保湿性あり | △ 重たい印象 | △ 巻きにくい | ダメージ毛用 |
T/Cギャバ | ○ 滑る | ◎ 速く強く入る | ◎ 爆発少ない | ○ ツヤは出やすい | ○ 操作は軽快 | 速さ重視派 |
デニム | △ 硬い | △ やや遅い | ○ 爆発防ぐが乾きづらい | ◎ 毛羽防止 | △ 巻きにくい | 毛量多い髪用 |
🔶 結論:結局、最初に選ぶなら「天竺木綿」
他素材には尖った特性もありますが、
髪質・水分状態・ブローの仕上がりに左右されすぎることが多く、
「失敗しにくい」汎用布として天竺木綿はやはり非常に優れています。